福岡家庭裁判所大牟田支部 昭和47年(家)218号 審判 1972年8月10日
申立人 小河内サエ子(仮名)
相手方 小河内浩治郎(仮名)
参加人 ○○電報電話局給与支払者 局長
主文
一 相手方は昭和四七年八月より本件が終了するまでの間○○電報電話局長より支払われる給与の内五万円の支払を受けてはならない。
二 ○○電報電話局長は昭和四七年八月より本件終了に至るまでの間、相手方に給付すべき給与の内五万円を申立人に対して支払え。
理由
申立人と相手方は昭和二三年四月九日届出を了した婚姻関係にあるが、両者間には長男良貴以下五子がありそのうち三子が未成熟子である。而して、未成熟子は各高等学校二年生中学二年生小学校六年生に在学している。
相手方は昭和四七年四月より、女性関係を生じて別居し申立人等家族の生活費の支給をなさない。
ところで申立人は二五ヘクトアールの田を耕作するのみでその他に何等の所得なく、相手方の給与所得によらなければ未成熟子三子を抱えて生計を維持することは不可能であり、その額は少くとも月額五万円を要しこのまま放置すれば生活が破綻する恐れがあり窮迫の状況が認められるので、参加人が月々相手方に支払う給与のうち五万円を申立人に対し支払うことを命じた(○○電報電話局長作製の給与証明によれば相手方は最低八万円の収入がある)。
なお本件は婚姻費用の分担事件として申し立てられているが、その実質は未成熟子の義育と配偶者扶養であり、夫婦協力扶助事件と何等認むべき差異はないから、家事審判規則四六条九五条を準用して臨時に必要な処分をなし得るものと解する。よつて主文のとおり審判する。
(家事審判官 河原畑亮一)